生命の気配 光のゆらぎ祈りのかたち 静けさの音 冷たい感触 目に見えた光景 目に見えない光景見えない 触れない 聞こえないけれど 感じられる かすかな兆し見えないものをつむいでいくための祈り
立っていること、宙の傷跡の影のもとに。だれのためでもなく— なにのためでもなく—立っていること。誰にも気づかれず、ただおまえだけのために。そのなかに空間を占めるすべてのものとともに、ことばもなく。
パウル・ツェラン 「息のめぐらし」